2013年6月26日水曜日
ふたり 前編
ブリッジポートの街中を一台のタクシーが走る。
アンナ「試写会での囲み取材もだいぶ慣れてきたわね。」
アイビー「うん。まだちょっと緊張しちゃうけど・・・。」
アンナ「あれだけしゃべれてたら大丈夫よ。これからはもっとテレビの露出を増やす予定だから、がんばってね。」
アイビー「う~ん、まだ不安・・・。」
アンナ「大丈夫よ。あなたは安っぽいバラエティータレントやグラドルとは違うんだから。そういう番組には出すつもりないわ。」
アイビー「はい。まぁ、出ても面白いこと言えないけどねw」
アンナ「そうね。」
アンナ「そうそう。急だけど、明日から休みになったわ。」
アイビー「休み?なにか・・・問題でもあったの?」
アンナ「社長の指示よ。5日間ゆっくり休みなさい。」
アイビー「5連休?!」
アンナ「そうよ。休みだからって気を抜かないように。体調管理はしっかりね。」
アイビー「うん・・・。でも・・・明日のBiBiの撮影とか・・・予定入ってたよね?」
アンナ「来週に変更になったのよ。詳しいことはわからないけどたぶん・・・あなたがここのところ体調崩したりしてたから、社長の配慮じゃないかしら。」
アイビー「そうなんだ・・・。」
アンナ「素直に喜びなさいよ。」
アイビー「うん・・・。」
アイビー「 (5連休とかお正月ぶりだな~・・・。なにしよう?とりあえず、ロミオとゆっくりできるかな♪ ふふっw ロミオびっくりしちゃうかもw) 」
アイビー「ただいま~。」
ロミオ「おう。お疲れさん。」
アイビー「ロミオ~あのね~・・・。」
ロミオ「話はあとだ。これからお前んち行くぞ。」
アイビー「え?家って・・・なんで?」
ロミオ「サンリットタイズのチケットが取れた。このあと最終便の飛行機だ。時間がないから急ぐぞ。」
アイビー「サンリットって・・・なんで急に・・・・。」
ロミオ「5連休だろ。」
アイビー「ロミオなんでそれ・・・もしかして・・・。」
ロミオ「ああ。俺がリリィに頼んで休みもらった。お前にもたまには息抜きが必要だろ。」
アイビー「でも・・・ロミオ仕事は?」
ロミオ「俺は大方片付いた。」
ロミオ「その格好、パーティーだったのか?」
アイビー「ううん。試写会。」
ロミオ「そうか。」
アイビー「これからテレビの露出増やす方針だって・・・。」
ロミオ「ああ。リリィから聞いた。これから忙しくなるから、旅行行くなら今がいいタイミングだろ。」
アイビー「でも・・・久しぶりの休みだし家のこととか・・・・。」
ロミオ「そんなのあとにしろ。」
アイビー「でも・・・ロミオだって・・・・。」
ロミオ「行くのか行かないのか?」
アイビー「行くっ!」
ロミオ「よし。」
ロミオ「お前んちで荷物拾ったらそのまま空港向かうぞ。」
アイビー「あれ?ロミオの荷物は?」
ロミオ「もう車に積んである。」
アイビーが窓辺に立ち海を眺めている。
アイビー「 (綺麗・・・・。撮影では何度か来てるけど、プライベートで来るのははじめてだな・・・・。) 」
アイビー「 (ロミオと元に戻ってから、半月もしないうちに旅行か・・・。なんか、幸せすぎて怖くなるよ・・・。) 」
ロミオ「準備できたか?」
ドアが開いてロミオが入ってくる。
アイビー「うん。」
ロミオ「今日はむこうのビーチは観光客で混んでるらしいから、ホテル前のビーチのほうがオススメらしい。」
アイビー「そうなんだ?じゃあ車出さなくてもよさそうだね。」
ロミオ「ああ。このホテルは客も少ないしな。」
アイビー「よく知ってたねこんなところ。」
ロミオ「お前撮影でしか来たことねぇからいつも大手のリゾートホテルだろ。」
アイビー「そう。」
ロミオ「俺は昔からここ愛用してたんだよ。」
アイビー「そうなんだ?ロミオ・・・。」
ロミオ「うん?」
アイビー「すっごく素敵なホテルだね。ロミオと来られて嬉しい。」
ロミオ「惚れ直したか?」
ロミオがアイビーの頬に手をやる。
アイビー「うん・・・私ね・・・・。」
アイビー「すっごく幸せ!!」
突然アイビーがロミオに抱きつく。
ロミオ「うおっ!」
アイビー「ふふっw びっくりした?」
ロミオ「お前のやることなんて読めてるよ。」
アイビー「ふふっw ロミオはなんでもわかってるねw」
ロミオ「ああ。お前のことならな。」
アイビー「大好き。」
ロミオ「知ってる。」
アイビー「ふふっw」
アイビー「幸せ・・・。」
ロミオ「俺もだ。」
アイビー「ホントに?」
ロミオ「ああ。」
アイビー「嬉しい・・・////」
アイビー「ロミオ~!早くおいでよ~!」
遠くでアイビーが呼んでいる。
ロミオ「ああ。」
ロミオ「 (ホントあいつ元気だな。まるで子供みたいだ。でもあいつには・・・笑顔が似合う。) 」
アイビー「も~、さっきから呼んでるのに~。」
アイビーが海からあがってロミオの元へやってくる。
ロミオ「悪い悪い。」
アイビー「まったく、昼間っからビールばっかり飲んで。それ何杯目?」
ロミオ「まだ3杯だ。」
アイビー「あんまり飲んだら危ないよ?海なんだから。」
ロミオ「そうだな。」
アイビー「それに・・・さっきから私一人で海入ってる。せっかく二人で来てるのに・・・これじゃ一緒にいても意味ないよ・・・。」
ロミオ「あ~、わかったわかった。」
アイビー「なにその言い方・・・。ロミオ、全然やる気ない・・・。」
ロミオ「そんなことねぇよ。」
ロミオがアイビーの腰を引き寄せる。
アイビー「ホントに~?」
ロミオ「ああ。ちょっと休憩してただけだ。これから一緒に泳いだら機嫌直してくれるか?」
アイビー「いいよ。でもお酒飲みすぎたからロミオ溺れちゃうかもよ?」
ロミオ「俺が溺れたらお前、人工呼吸してくれんだろ?」
アイビー「ふふっw いいよ。」
ロミオ「よし。」
ロミオ「じゃあ海まで競争だ!」
アイビー「あっ!ずるい!」
二人が走り出す。
ロミオ「冷てぇっ!」
アイビー「あははっw 急に入るからだよ~。気をつけてよ?」
アイビー「夜になったら雨になっちゃったね。」
ロミオ「せっかく食事にでかけようとしてたのにな。」
アイビー「でもこのホテルの食事もすごくおいしかった。」
ロミオ「だろ?」
アイビー「ロミオ、かなり焼けちゃったね。痛くない?」
ロミオ「ああ。お前はさすが、焼けないな。」
アイビー「強力な日焼け止めバッチリ塗ってるもん。焼けたらアンナさんに怒られるし。」
ロミオ「そうか。・・・イヤか?」
アイビー「え?」
ロミオ「俺の日焼け。」
アイビー「ううん。すっごく素敵。」
ロミオ「ははっw 素敵か。」
アイビー「ロミオ、すごく似合ってる。でも・・・。」
ロミオ「でもなんだ?」
アイビー「これ以上モテちゃったらやだな・・・。」
ロミオ「アホみたいな心配してんじゃねぇよ。」
アイビー「だって・・・。」
アイビーがロミオの体にまたがる。
アイビー「ロミオ。」
ロミオ「ん?」
アイビー「ずっと一緒にいてくれる?」
ロミオ「ああ。もうお前を離さないって言ったろ。」
アイビー「私・・・なんだか幸せすぎて怖いんだ・・・。」
ロミオ「怖いのは俺も同じだ。」
アイビー「ホント?」
ロミオ「ああ。でも・・・俺はお前を信じるって決めた。だからもうほかのやつはどうでもいい。俺とお前だけいれば。」
アイビー「ロミオ・・・。」
ロミオがアイビーの体を抱き寄せる。
重なる唇。
ロミオ「愛してる。」
アイビー「私も・・・愛してる。ずっとずっと・・・・。」
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