2013年10月6日日曜日








激しい雨が地面を叩きつける。
ブリッジポートは夏の嵐にみまわれていた。

















ラトーシャ「 (台風みたいな雨ね~。今日は家から出られそうにないし、ディーンが帰ってくる前に片付けしよっと。) 」

















数時間後。


ラトーシャ「もぉ~。」
















ラトーシャ「ディーンが次々と本とか雑誌買ってくるからどんどんたまっていっちゃう・・・。もうクローゼットにも入りきらないよ。」

















ラトーシャ「はぁ~・・・・これどうしよう。勝手に捨てたら怒るしなぁ・・・。空き部屋はあるけど、いつお客さんが泊まってもいいように物置にするなって言われてるし・・・。」

















ラトーシャがふと頭上を見上げる。


ラトーシャ「ん?(あんな箱、いつからあったんだろう?) 















ラトーシャ「 (結構大きいし、空箱だったらあれに入るかもしれない。) 」


ラトーシャが手を伸ばす。


ラトーシャ「ん~・・・届かない・・・。」












ラトーシャ「 (ていうかよくみたらクリスマスの箱じゃない?もしかして・・・ディーンったらもうクリスマスプレゼント用意してくれてるとか・・・・。) 」


ラトーシャがぴょんぴょんとジャンプして箱に手を伸ばす。


ラトーシャ「 (もうちょっとで・・・よっと!) 」












ラトーシャ「きゃっ!」


箱がバランスを崩してラトーシャの上に倒れてくる。
途端に中の物が飛び出した。















ラトーシャ「あ~あ・・・・やっちゃった・・・・。ていうかクリスマスプレゼントでもなんでもないし・・・。」
















ラトーシャ「期待した私がバカだった・・・。でもこの箱に入れられそう。」


ラトーシャが散らばった本や雑誌をかき集める。















ラトーシャ「ん?」


















ラトーシャ「なに・・・これ・・・・。」


















ラトーシャ「鬼・・・・逝く・・・・?」

















ラトーシャ「 (これって・・・・エッチなDVD・・・だよね?ディーンってば・・・・こんなの隠し持って・・・・。) 」

















ラトーシャ「・・・・。」


















夜になって雨が少し弱まってきた。

















雨の中、ブリッジポートを一台のリムジンが走る。



















ミランダ「そのへんで止めてちょうだい。」


ミランダが運転席に声をかける。















運転手「しかし、外はまだ雨が・・・。」


















ミランダ「構わないわ。少し歩きたいの。」


















運転手「・・・かしこまりました。」


















リムジンから降りたミランダが車を見送る。


















ミランダ「 (夜だっていうのにこの街はバカみたいに明るいわね。雨で空気が澄んだせいかしら・・・。雨は好き・・・・街を浄化してくれるから・・・・。) 」
















ミランダ「ん・・・?」


ふいにミランダが立ち止まる。
耳を澄ますと遠くから微かに鳴き声が聞こえる。















ミランダ「 (あのあたりね・・・。) 」


ミランダが声のするほうへと歩き出す。
古い工場の敷地内。
人気はなく雨の音と噴水の水音だけが響いている。













ミランダ「あなただったの・・・・?」


建物の影から猫が顔を出す。
じっとミランダをみつめて様子を伺っている。


ミランダ「 (大人ね。雨でずぶ濡れじゃない・・・。) 」


ミランダがゆっくりとゲートの中へ入る。










ミランダ「安心して。あなたに危害を加えるつもりはないわ。」


そっと手を伸ばす。
















猫はゆっくりとした動作でミランダの手のにおいを嗅ぐ。


ミランダ「わかってくれたかしら?」
















ミランダ「老猫みたいね・・・。首輪をしているのに・・・どうしてここにいるの?あなたも・・・一人ぼっちなの?」


猫はじっとミランダをみつめている。















ミランダ「おいで。」


そっと猫を抱き上げる。
















ミランダ「私と一緒にくる?お互い一人ぼっちだものね。死ぬときくらい・・・誰かにそばにいてほしいわよね。」


ゆっくりと背中を撫でると、猫は目を細めてミランダを見つめた。














ミランダ「おなかがすいたわね。帰りましょうか。」


猫はゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
















ミランダ「猫の餌ってどこに売ってるのかしら・・・?マシューを呼び戻さなくちゃね・・・。」





































マスター「いつまでそうしているつもり?」

ロミオ「・・・・。」















マスター「もうとっくに閉店時間はすぎてるんだけど。」

ロミオ「この店に閉店時間なんてあったのか?いつも最後の客が帰るまで開けてるだろ。」

マスター「そうやっていつまでも居座る客がいるから困るのよね。それにあなた、1週間毎日来て閉店まで居座ってるじゃないの。」













ロミオ「稼げるんだからいいだろ。俺はちゃんと飲んでる。」

マスター「飲みすぎよロミオ。気持ちはわかるけど。」
















ロミオ「はっ・・・・あんたに俺の何がわかるって言うんだよ。」

マスター「私はあなたみたいに優柔不断じゃないわ。こういうとき、男のほうが女々しいわよね。」

ロミオ「・・・・。」

マスター「ロミオ、行動を起こさないといつまでたっても前に進まないわよ。この前私があなたに言った言葉に甘えるのはやめてちょうだい。」

ロミオ「・・・・。」









ロミオ「帰る。」


ロミオが立ち上がる。


マスター「今出たらちょうどタクシーを拾えるわ。」













ロミオ「ごちそうさん。」

マスター「気をつけてね。」
















マスター「ふぅ・・・・。」



















マスター「・・・・。」


















ロミオが自宅にたどり着いたころ、すでに空は明るくなりはじめていた。

















ゆっくりと階段をあがる。
部屋には明かりがついていた。

















寝室のベッドでアイビーが毛布もかけずに横になっている。


















ロミオ「・・・・。」


















ロミオ「・・・おい、起きろ。風邪ひくぞ。」

アイビー「ん・・・・。」

















アイビー「あ・・・ロミオ、おかえり・・・・。私、いつの間にか寝ちゃってたんだ?」

ロミオ「・・・待ってたのか?」

アイビー「うん・・・おなかすいてたら夜食でも作ろうかと思って・・・。今何時?」

ロミオ「もう5時だ。」

アイビー「そうなんだ?」










アイビー「おかえりロミオ。お仕事お疲れ様。」

ロミオ「・・・・。」

アイビー「おなかすいてない?なにか食べる?」
















ロミオがアイビーの体を抱き上げベッドへと押し倒す。


アイビー「ロ・・・ロミオ?」

ロミオ「・・・・。」













突然唇を塞がれる。


アイビー「んっ・・・・。」


唇を割って舌が入り込む。
むさぼるような激しい口づけにアイビーが戸惑う。












アイビー「ロミ・・・・んっ・・・・・。」




















アイビー「は・・・・んっ・・・・。」


息もできないくらいに激しく唇を塞がれる。















アイビー「 (ロミオ・・・どうしたんだろう。今日は余裕がないみたい・・・。) 」


アイビーが必死にそれに答えようとする。
ロミオの背中に回した腕に力をこめる。














乱暴に服を脱がされ、あっという間に裸になる。
重い体重がのしかかりアイビーの体がベッドに沈む。


アイビー「あっ・・・・。」
















ロミオが裸になるとすぐにアイビーの中へ入ってくる。


アイビー「あっ・・・待ってロミオ。」















アイビー「ゴム・・・つけてないよ。」


ロミオの動きが止まる。


アイビー「今日は安全日じゃないから・・・できちゃうかもだけど・・・・。」











ロミオ「・・・・。」


















ロミオが無言のままアイビーの体の上から降りてベッドへ腰掛ける。


ロミオ「・・・・。」

アイビー「あ・・・違うの。私はいいんだけど・・・ロミオが困るでしょう?」

ロミオ「・・・・。」

アイビー「・・・・ごめん。台無しにするようなこと言って・・・。」








ロミオ「子供ができた。」

アイビー「・・・?」

ロミオ「ミランダに。」














アイビー「え?ミランダさんに?」

ロミオ「・・・・。」
















ロミオ「俺の子だ。」


















アイビー「え・・・・?」


ロミオが立ち上がる。















アイビー「・・・嘘・・・・。」


















ロミオ「でかけてくる。」


ロミオがすばやく服を着て立ち去る。


アイビー「ロミオ・・・・。」































アイビー「・・・・。」


アイビーがベッドのふちに座りボーっと床を見つめる。















アイビー「 (ロミオの子供を・・・・ミランダさんが・・・・?) 」


















アイビー「・・・・。」









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